0003:浦野 真彦八段 ④
○主 催:読売新聞社
○棋 戦:第30期竜王戦6組ランキング戦
○対局日:平成29年02月09日
○対局場:関西将棋会館
○持時間:各5時間
先手▲:浦 野 真 彦 八段(52)
後手△:藤 井 聡 太 四段(14)
注①:( )内は、対局時点の年齢。
注②:「藤井聡太全局集 平成28・29年度版
日本将棋連盟発行」より、棋譜参照
浦野 真彦 八段 のこと
棋士番号:162
生年月日:1964年03月14日
出身地 :大阪府
クラス :竜王戦(6組)、順位戦フリークラス(宣言)
第12図:正解の一手は?
【正解】
後手藤井が指した正解の一手は、△7二角。
【雑感】
正解の一手、△7二角は、「新手一生」の升田幸三を彷彿とさせる名手である。
△7二角の名手たる所以は、
①▲2四歩、△同歩、▲同銀に、△2七歩を用意し、先手からの棒銀攻めを間接的に受けている。
②▲6三飛の打ち込みを消し、かつ後手△6一金に紐を付ける事によって自陣の隙を消している。
つまり、一石二鳥の意味を持つところにある。
この手を見て、浦野の手が止まる。
結局、先手浦野は54分考え、▲2四歩と、斬り合いの道を選択する。
しかし、▲2四歩では、▲8五飛があった。
△8二銀と△8七と(金)の両取りである。
「藤井聡太全局集 平成28・29年度版(発行:日本将棋連盟)」には、つぎのとおり、解説されている。
(▲2四歩に代えて、)▲8五飛、△7三銀、▲8七飛なら長引くが、△1四歩と突かれて先手が苦しいことに変わりはない。
先手浦野は、おそらくジリ貧を嫌ったのであろうが・・・。
アマチュアの将棋なら、まだまだ、これからの将棋である。
浦野には、辛抱して欲しかった。
第13図:次の一手は?
第13図は、第12図のから▲24歩、△同歩、▲同銀、△2七歩、▲3三銀成、△同桂に、▲1八飛と進んだ局面である。
ここで後手藤井が指した次の一手をノーヒントで、お考えいただきたい。
第14図:正解の一手は?
【正解】
後手藤井が指した正解の一手は、△2八銀。
【雑感】
後手藤井は、寄せを確認するように、16分熟考し、△2八銀。
野暮ったい手であるが、飛を取るのが手堅い寄せである。
後手藤井の寄せは、見事である。
先手浦野陣を見れば、右翼には△7二角と△2七歩が睨みを効かせ、左翼の8七と(金)で、挟撃体制となっている。
また、上部には△6五桂が迫り、更に△4五桂の追撃も見えている。
第15図:投了図
第14図から、後手幾許もなく、投了。
本局は、第12図の局面で、先手浦野は▲2四歩と斬り合いの道を選んだが、▲8五飛から8七のと(金)をはずしていれば、まだまだの将棋であったかと思う。
しかし、B級1組まで駆け上がった浦野にとって、そのような展開は我慢ができなかったのだろう。
藤井は、これで、公式戦3連勝となった。
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