#000:久保 利明 ②
○主 催:囲碁将棋チャンネル「将棋プレミアム」
○棋 戦:将棋プレミアムフェスin名古屋
○対局日:平成29年12月10日
○対局場:名古屋コンベンションホール3F
○持時間:各5時間
先手▲:久 保 利 明 王将(42)
後手△:藤 井 聡 太 四段(15)
注①:( )内は、対局時点の年齢。
注②:囲碁将棋チャンネルより、棋譜参照
久保 利明 王将 のこと
棋士番号:207
生年月日:1975年08月27日
出身地 :兵庫県加古川市
クラス :竜王戦(1組)、順位戦(A級)
第04図:正解の一手は?
【正解】
昨日掲載の第03図で、
後手藤井が指した正解の一手は、△6六角。
【雑感】
第04図は、正解の一手△6六角に代えて、△8四歩と打てば、8五の桂取りである。
しかし、プロ棋士は、そのような手を指さない。
40年以上も昔のこと、兵庫県高校将棋個人戦決勝の将棋で、確か、内藤國雄先生から、以下のような辛辣なコメントをいただいた。
「こう言った手は、奨励会員でも指さない。」
プロ棋士、それが例えプロの卵である奨励会員であろうとも指す手ではないと言うのだ。
つまり、プロ棋士が指す一手には2つ、場合によっては、3つも4つも意味を持たなければいけないと言うのだ。
再度、第04図の局面を見ていただきたい。
△6六角に代わる△8四歩は、単なる8五の桂取りで、一つの意味しか持たないのである。
例え、△8五歩と桂を取れたとしても、次に、その桂を急所に使えるということもない。
ところが、△6六角はどうか。
次に、△9九角成となれば、香が取れる。そして、馬も作れる。
また、△7七歩成となれば、金取りになる。そして、5八飛へのプレッシャーにもなる。
更に、3九の地点にも睨みを効かせている。
そして、遠く後手陣への守りにも効いている。
そう言った意味で、△6六角は、実に、味わい深い手なのだ。
△6六角そのものは、良くある手筋なので、何を大袈裟に言っていると思う方も沢山いらっしゃるかと思う。
しかし、その意味を深く捉え、指せる方は、案外少ないのではないかと思っている。
更に言えば、アマは教えてもらって、あぁ、そう言うものなのかと思う。
しかし、プロ棋士を志す者であれば、そのような事など、直感的に、かつ本能的に肌に染みついていなければならないのだ。
多分、内藤國雄先生は、そう言う事を私に言いたかったのではないかと理解している。
第05図:次の一手は?
第05図は、後手藤井が△2四金と持駒の金を打った局面である。
この手は、先手久保の▲3四桂又は▲1四桂を防いだ手である。
ここで先手久保が指した次の一手を、お考えいただきたい。
第06図:正解の一手は?
【正解】
第05図で、
先手久保が指した正解の一手は、▲7六飛。
【雑感】
第05図、局面の展開によって、後手藤井の一つの狙いとして、△7八竜、▲同歩、△8九飛となれば、次に△3九角打ちが狙える。
かと言って、△3九角打ちを、先手が手駒を使って防ごうとすれば、後手陣への攻めの幅が小さくなる。
また、後手藤井の持駒である角によって、更なる追撃があるかもしれない。
先手久保が指した▲7六飛は、振り飛車らしい曲線的な手である。
第一に、飛を7六に躱すことにより、△7八竜、▲同歩、△8九飛の寄せを、未然に防いでいる。
第二に、△8九竜に対して、▲7九歩が残ることにより、先手玉への防波堤となっている。
第三に、後手藤井の6六の角筋を逸らすことで、先手久保玉への脅威を緩和することができる。
こう言った手が指せれば、振り飛車党の勝率も、ぐっと上がるかもしれない。
第07図:明日の一手は?
第07図は、先手久保が▲5三香と、持駒の香を打ったところである。
この手は詰めろ馬取りの手である。藤井聡太、最大のピンチなのだ。
ここで、後手藤井が指した次の一手を、お考えいただきたい。
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