第77期順位戦A級、名人挑戦者争い展望

 さて、本日はA級順位戦について、名人挑戦者争いを中心に展望してみます。

 現在、A級に所属している棋士は、10名いらっしゃいます。

 この10名が、6月から翌年の3月まで、総当たりのリーグ戦を闘うのです。

 そして、このうちの最高成績者が名人挑戦者となり、成績下位の者2名がB級1組に陥落します。

 

 順位戦では、最高成績者が複数でた場合、昇級は通常(順位戦での)順位が優先されます。

 しかし、A級順位戦では、最高成績者が複数でた場合、プレーオフで挑戦者を決定します。

 仮に最高成績者が(例えば7勝2敗で)3名以上の場合は、パラマス方式で挑戦者を決定します。

 

<例:同一成績者が3名の場合>

 順位3番者と順位2番者が対局し、勝った者と順位1番者が対局して、挑戦者を決定します。

 

 本日も前置きが長くなりましたが、名人挑戦者は一体どなたが有力なのか。

 そして、どなたが降級しそうなのか、みなさんと御一緒に、勝敗の状況を見てみましょう。

 

名人挑戦者は誰か?

 12月末時点で、10名のA級棋士は、すべて6局の対局を終えています。

 リーグ戦では、各自9局対局しますから、2/3の対局が終了したところです。

 成績上位者の成績と、残り3局の対戦相手、対戦成績は以下のとおりです。

 

6勝0敗、⑥豊島将之二冠
 第7局、対③広瀬章人竜王 (07勝06敗)
 第8局、対①羽生善治九段 (14勝15敗)
 第9局、対⑤久保利明王将 (14勝15敗)

5勝1敗、①羽生善治九段
 第7局、対⑧三浦弘行九段 (27勝05敗)
 第8局、対⑥豊島将之二冠 (15勝14敗)
 第9局、対③広瀬章人竜王 (18勝12敗)

5勝1敗、③広瀬章人竜王
 第7局、対⑥豊島将之二冠 (06勝07敗)
 第8局、対⑦深浦康市九段 (13勝05敗)
 第9局、対⑳羽生善治九段 (12勝18敗)

補足:以下、

3勝3敗、④佐藤康光九段 略
3勝3敗、⑧三浦弘行九段 略
3勝3敗 ⑨糸谷哲郎八段 略

 

 名人挑戦者は、間違いなく豊島二冠、羽生九段、そして広瀬竜王のなかから決まるでしょう。

 星勘定から見れば、豊島二冠が6戦全勝で、羽生九段及び広瀬竜王に勝ち星一つリードしています。

 

 しかし、三竦みの対局がすべて残っていますから、羽生九段及び広瀬竜王も、まだ自力なのです。

 そのため、最後の最後まで、どうなるか分かりません。

 

 おそらく、3月の最終対局まで、挑戦者は決まらないのではないでしょうか。

 場合によっては、二者または三者のプレーオフもあるかもしれません。 

 

 年が越えての残り3番、将棋ファンの皆様とともに、熱戦を期待しましょう。

 

<追記>

 私見ではありますが、佐藤豊島戦を早く観てみたいと思っております。頑張れ、豊島二冠!!

 

降級者、2名は誰か?

 さて、降級、成績不振者の方ですが、12月末現在、以下の4名が降級のピンチを迎えています。

 

2勝4敗、②稲葉 陽八段
 第7局、対④佐藤康光九段 (03勝03敗)
 第8局、対⑩阿久津主税八段(01勝01敗)
 第9局、対⑧三浦弘行八段 (03勝07敗)

2勝4敗、⑤久保利明王将
 第7局、対⑦深浦康市九段 (19勝14敗)
 第8局、対⑧三浦弘行八段 (08勝11敗)
 第9局、対⑥豊島将之二冠 (15勝14敗)

1勝5敗、⑦深浦康市九段
 第7局、対⑤久保利明王将 (14勝19敗)
 第8局、対③広瀬章人竜王 (05勝13敗)
 第9局、対⑨糸谷哲郎八段 (01勝06敗)

0勝6敗、⑩阿久津主税八段
 第7局、対⑧糸谷哲郎八段 (01勝02敗)
 第8局、対②稲葉 陽八段 (00勝01敗)
 第9局、対④佐藤康光九段 (05勝05敗)

 ※:降級者2名

 

 まず、危ない順から見てみますと、順位⑩位の阿久津八段が、最も危険な状況です。

 残り三局を勝って、運を天に任せるしかありません。

 

 次に危ないのが、順位⑦位の深浦九段です。降級は、勝敗が同じ場合は、順位下位の者が降級するのです。

 深浦九段は、第7局で久保王将に勝つことが最低条件で、負ければ赤信号が点灯します。

 

 久保王将は、第7局で深浦九段に勝つと残留が確定します。

 しかし、深浦九段に負けますと、混戦が続きます。

 

 稲葉八段は、三連敗しない限り、順位②位ですので、おそらく大丈夫だと思います。

 しかし、順位戦では何が起こるか分かりません。早く残留を確定したいところでしょう。

 

 年が越えて、心機一転、みなさんの頑張りを期待しています。